2020-01-01から1年間の記事一覧

自殺予防と心の痛み

Jack Klott著「Suicide & Psychological Pain(自殺と心の痛み)」という本を読みました。鬱病の家族を介護する者にとって、一番怖いのはやはり自殺でしょう。ずっと生きづらさを抱えて生きてきた娘から「生きるのがつらい、私は生まれたくなどなかった」と…

自閉症燃え尽き症候群

前回のブログでも書きましたが、自閉スペクトラム症(ASD)というのは、「スペクトラム」(Spectrumは光や波長による分布を示す「スペクトル」とも訳されますが、「あいまいな境界をもった連続体」という意味)という名称が示すように、症状の種類も重症度も…

スティミング(自己刺激行動)

私の娘は3年前に仕事に行けなくなり、一時はバイトをしたりしましたが、一人でふつうの生活ができなくなり、今はほぼ引きこもりの状態です。一応、診断は鬱と不安障害、PTSDとOCDというものですが、パニック障害、解離、感覚過敏、社交不安、広場不安、分離…

コロナとロックダウン

世界中でまた新型コロナウイルスの感染者が増え始めています。カリフォルニア州では、コロナ感染者数によって最悪のパープルからレッド、オレンジ、イエローと各郡の状態を色分けしているのですが、私の住むコントラコスタ郡(イーストベイ)も最悪の「Purpl…

アメリカの健康保険

日本の友人たちと話していて、いつも羨ましく思うのが、日本の健康保険です。アメリカではいつも国民皆保険ということが選挙の争点になり、オバマ大統領の時にはいわゆる「オバマケア」が導入されて公的保険の方向に近づいたのですが、それがかえってオバマ…

サポートグループ

以前のブログで書いたのですが、アメリカには精神疾患を持つ当事者と家族を支援するNAMI(全米精神障害者家族連合)という非営利団体があります。ボランティアによって様々な活動を行っているのですが、その一つ、サポートグループに初めて参加してみました…

カリフォルニアの赤い空

今朝起きると外が暗く、空は赤く濁っていました。10時現在もまだその状況は変わっておらず、一体どうなっちゃったんだろうと心が騒ぎました。外に出てみると車には灰が降り積もっています。ここ2週間ほどカリフォルニア州では記録的な山火事が発生して大気汚…

カリフォルニア州の山火事

ここベイエリアでは1-2週間ほど猛暑が続いた後の落雷で山火事があちこちで発生して、大気汚染は中国やインドを上回る状態になりました。カリフォルニア州では毎年のように山火事が発生して大気汚染の原因となっています。2018年には史上最大の山火事が発生し…

精神疾患は「心の病」か?

「Mental Illness」は「精神疾患」「心の病気」という意味ですが、これらを「マインド」、すなわち「心」や「精神」から発する病気であるとする前提を見直す必要があるのではないかと近頃思うようになりました。また、英語で「He is mental」というと、「彼…

ペットの病気とOCD

娘がセロトニン症候群で救急に運ばれて数日後に今度はうちの柴犬リキが救急に行く騒動がありました。夕方から6回ほど嘔吐を繰り返したのです。夜中に救急センターに電話した後、様子を見ることにして、未明には止まりました。翌朝、リキ自身は元気があるよ…

セロトニン症候群

先週、娘がセロトニン症候群で救急に運ばれました。幸い軽症で数時間後には帰宅できたのですが、それ以来、OCD(強迫障害)によって薬に対する恐怖心が増幅し、薬を飲もうとするたびに不安が増すようになってしまいました。 セロトニンというのは脳内ホルモ…

ネットフリックス「ラブ・オン・スペクトラム〜自閉症だけど恋したい!〜」を見て

ネットフリックスで「Love on the Spectrum(邦題:ラブ・オン・スペクトラム〜自閉症だけど恋したい!〜)」という番組を見ました。オーストラリアに住む自閉症の20代の男女何人かがパートナー探しをするリアリティ番組です。見ているうちに誰かいい人がみ…

久しぶりの外出

先日は娘の誕生日だったので、サンフランシスコ市民の憩いの場であるミッション・ドローレス・パークに犬のリキも連れて行ってきました。不安障害のため毎日アパートから出るのがせいいっぱいで、リキの散歩ができたら花マル日である娘にとってそれはとても…

OCDとサプリ:NAC(Nアセチルシステイン)

私の娘はこの2年以上、OCD(強迫性障害)とPTSDによるうつ病と不安障害(パニック障害)でふつうに生活できなくなり(外出できない、パニック発作が頻繁に起こる、食事ができないなど)この2年以上様々な治療法を試してきました。言い換えれば、これぞという…

精神病のオリエンテーション

NAMI(National Alliance on Mental Illness:全米精神障害者家族連合)は、精神疾患を持つ当事者とその家族を支援するために全米で様々な啓蒙活動を行っている非営利団体です。新型コロナウイルスで世界が変わってしまう直前の3月初旬、私の住むコントラコス…

大麻のこと

大麻について書こうかどうか、随分迷いました。こういってはなんですが、私も娘も、「ド」がつくほど真面目な人間です。大麻など、遠い世界のことでした。けれども、鬱の海のどん底にいた娘が大麻で救われた、というのは疑いようのない事実なのです。だから…

『躁うつ病を生きる』

1995年の本ですが、『An Unquiet Mind』(邦題:『躁うつ病を生きる―わたしはこの残酷で魅惑的な病気を愛せるか?』という本を読みました。著者は躁うつ病を患い、自殺未遂までしながらジョンズ・ホプキンス大学医学部の教授となり、躁うつ病の治療研究をして…

睡眠相後退症候群

犬にも不安症や鬱はあるそうですが、睡眠障害はなさそう・・・ 1年ほど前ですが、朝日新聞デジタルに「朝起きられず、昼夜が逆転 背後に潜んでいた二つの病気」という記事がありました。この記事の女子高生は、「起立性調整障害」と「睡眠相後退症候群」とい…

スティグマ

「偏見」という言葉、英語にすると「prejudice」とか「bias」になるのでしょうが、「精神疾患に対する偏見」を考える場合、「stigma」の方がふさわしいような気がします。「stigma」の辞書での訳は「汚名」や「烙印」、ギリシャ語で奴隷や犯罪者の体に刻印さ…

TMS治療(経頭蓋磁気刺激法)

昨年(2019年)、日本でもうつ病のTMS(transcranial magnetic stimulation:経頭蓋磁気刺激法)治療に保険が適用されることになりました。(「ヨミドクター」の2019年6月19日付け記事:https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20190619-OYTET50000/)。これ…

ケタミン

ここ数年、麻酔剤のケタミンが画期的な抗うつ剤候補として注目を浴びています。他の抗うつ剤や治療法では、効果があったとしても効果が現れるまでに数週間から数カ月かかかる場合が多いのですが、ケタミンは即効性があります。うつ病の治療に使われるケタミ…

加重ブランケット

先日、『テンプル・グランディン 自閉症とともに』という映画を見ました。テンプル・グランディンは自閉症を抱えながら博士号をとり、コロラド州立大学で動物学を教え、自閉症啓発活動を行っている女性です。屠殺される家畜が静かな気持ちで最期を迎えられる…

プロバイオティクス

娘は多種多様な抗うつ剤・抗不安剤を試してきましたが、どれも今ひとつ効果がありませんでした。これを治療抵抗性うつ病(TRD: treatment-resistant depression)というそうです。(ちなみにTMS【経頭蓋磁気刺激法】を保険申請する際は、治療抵抗性であるこ…

共依存

私が娘の世話のためカリフォルニア州に来てから2年以上経ちました。今の私の目的は、いつか私がこの世を去ったときに娘が一人でも暮らしていけるようにしてやること。でも今は、みためはふつうでも、ふつうの人ができることができない。だから私がほとんど身…

治療の長い道のり

それまでカウンセリングはしていたものの、鬱と不安で娘が精神科による治療を始めたのは2017年の夏でした。最初は抗うつ剤としてSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)のレクサプロ(エスシタロプラム)、抗不安剤としてアルプラゾラム(こちらではXanax…

エモーショナル・サポート・アニマル

エモーショナルサポートアニマルとしてお役目を果たす。羊のぬいぐるみがお気に入り。 我が家の柴犬、リキ君は娘のエモーショナル・サポート・アニマル(感情支援動物)。エモーショナル・サポート・アニマルとは、盲導犬や介助犬といったサービス・アニマル…

ブログ開設!

娘が犬の散歩の途中撮った写真。アパートから出ることが不安で、犬の散歩ができた日は花マル日。 アメリカに来て34年、28歳になる娘を持つ母親です。娘は3年前にうつ病と不安障害で仕事ができなくなり、今も社会復帰できていません。私はもともと他州にアメ…