ケタミン

ここ数年、麻酔剤のケタミンが画期的な抗うつ剤候補として注目を浴びています。他の抗うつ剤や治療法では、効果があったとしても効果が現れるまでに数週間から数カ月かかかる場合が多いのですが、ケタミンは即効性があります。うつ病の治療に使われるケタミンには、注射(または点滴)によるもの(R型とS型の混合)と、鼻からスプレーで噴霧するタイプ(S型)があり、スプレータイプは2019年3月に米国の食品医薬品局から承認が下りました(https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-06/PNXBQA6S972801)。しかし、どうしてケタミンがうつ病に有効なのか、どちらのタイプの方がより効果があるのか、長期使用による副作用はどのようなものなのか、まだ不明な点が多いようです。(参考サイト【英語】:https://www.health.harvard.edu/blog/ketamine-for-major-depression-new-tool-new-questions-2019052216673)また、古い記事ですが2017年には日経新聞に「麻酔薬ケタミン、抗うつ薬へ研究〜即効性が強み」という記事もありました(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO17367510W7A600C1X90000/)。

 

私の娘も2018年にケタミン治療を試しました。他の薬が効かず、当時かかっていた精神科クリニックからカウンセリングも同時にしてくれるケタミンクリニックを紹介してもらったのです。シリコンバレーには流れ作業のようにケタミンを点滴するクリニックもあるようで、1回650ドル〜700ドル(7万円程度)で6回ワンセット「現金払いでお願いします」という感じでした。上述のFDA認可の薬はどうか知りませんが、ケタミン注射は保険適用外なので自己負担です。けれども藁にもすがる思いで、そんな魔法みたいな薬なら、と試してみることにしたのです。

結果は、期待していたほどではありませんでした。確かに即効性はあるのですが、娘の場合は効果が持続せず、数日で元に戻ってしまうのです。けれども、別途処方してもらった鼻からのスプレーはパニック発作に即効性があり、欠かせない薬となっています。脳に働く効果は確かにあるので、医薬品会社にはぜひ開発を進めてほしいし、もっとふつうに手の届く価格になってほしいと思っているのですが、上述の日経新聞の記事から3年経った今も、状況はあまり変わっていない感じです。

f:id:Freespirit:20200506024414j:plain

 

にほんブログ村 メンタルヘルスブログ うつ病(鬱病)へ
にほんブログ村