治療の長い道のり

それまでカウンセリングはしていたものの、鬱と不安で娘が精神科による治療を始めたのは2017年の夏でした。最初は抗うつ剤としてSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)のレクサプロ(エスシタロプラム)、抗不安剤としてアルプラゾラム(こちらではXanax)とブスピロンを処方されましたが効果なく、会社を休職してPHP(Partial Hosipitalization Program)という、毎日病院へ通って認知行動療法(CBT)を行うプログラムに1カ月ほど参加しました。パニック発作の回数は減っても、それほどの改善はみられず、結局会社を辞めざるをえませんでした。こちらで脚光を浴びているケタミン治療もしたのですが、ケタミン投与後2−3日は鬱が改善しても、また元に戻ってしまいます(ただ、2−3日でも「ふつう」の状態を思い出せることがとてもありがたい、と本人は言っていますし、効果がある人も多くいるようです)。また、ケタミンスプレーという鼻に吸入するスプレーはパニック発作に対して即効性があるので、ものすごく助かっています。(こちらではふつうの薬局で処方してもらうわけにはいかず、サンフランシスコの特別な調剤薬局まで買いに行きます。)その後薬も色々と変えたのですが、なかなか改善せず、2019年の夏にはTMS(経頭蓋磁気刺激法)を試してみました。30回の治療を終えて、強迫性障害による侵入思考は少し改善したようでしたが、時間が経つとまた同じような状態になってしまいました。メンテナンス治療が必要とのことなのですが、娘の保険では適用外なため、今のことろまだ再治療できていません。さらに、Alpha -Stim(アルファスティム)という装置も購入して毎日やっています。これは手のひらにのるサイズの装置につなげた電極を耳たぶにつけて20分から1時間ほど微弱な電流を脳に与えるもので、やはり鬱の症状が改善しているのかどうかよくわからないのですが、リラックス効果はあるようです。というわけで、かなり手当たり次第治療法を試していますが、どれもなかなか目に見える効果というものはなく、たとえ改善したとしてもまた落ち込んで、アップダウンの繰り返しです。ただ、まだ鬱と不安は続いているものの、2年前、毎日数回のパニック発作があった時に比べると、今は週に数回という頻度に減っていて、長い目でみれば改善していると思います。治療の道のりは本当に長いーーつらい道程ではあるものの、学ぶことも多く、また、娘とより深くわかり合えた気がして、それなりに意義のある私の旅なのだと思うことにしています。

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精神科のクリニックの処方で購入したAlpha-Stim。毎日使用。